先日、横浜美術館で開催されている「魅惑のニッポン木版画」展に行ってきました。
この展覧会は“ニッポン木版画”とあるように日本の木版画文化を、幕末から現代まで辿ってゆきます。
はじめの浮世絵や千代紙、かるたに団扇、足袋の型紙など、庶民の生活の中に息づいていた幕末・明治の木版画から、西洋由来の印刷技術に取って代わられたものの芸術表現として再評価を受けることになった“創作版画”、“新版画”の興隆、棟方志功、斎藤清らの活躍により芸術の一分野として確固たる地位を築きあげた1950年代以降から、木版画の新たな可能性を模索する現代の作品群へと連なる大きな流れを観て、感じることができるのではないでしょうか。
作品で印象に残ったのは、長谷川潔の「函館港」(1917)。
“マニエール・ノワール”の印象が強い長谷川潔の木版画自体あまり観たことがなかったのですが、この作品は全くの初見(*゚‐゚)
不穏ささえ感じる重たい全体の色調と空の描写に対して、海の清澄な青さと水面の反射、もしくは小波のように見える版の木目が際立って美しく感じられました。
それと不勉強ながら名前さえ存じ上げなかったのがエマ・ボーマン!
後で調べてみるとオースリア出身(1887-1974)の女性版画家で、ヨーロッパ、アメリカ、アジアを巡って作品を描いていて、日展にも入選しているとのことで驚きましたヽ(`Д´)ノ
展示されていたのは千葉の川崎製鉄所と、二重橋の前で行われている出初式の様子を描いたもの。
どちらも黒一色で摺られていて、木口木版と思ってしまうほどの細密さと、木版らしいシンプルな造型が同居しているのが面白いですね(´∀`)
日本の木版画の理解が深まる展覧会なので、是非行ってみてください。
図録は竹久夢二の千代紙(木版ではありません)が貼ってあるかわいいデザインです。
written by Teru
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横浜美術館
「魅惑のニッポン木版画」(→公式サイト)
会期2014年3月1日(土)~ 2014年5月25日(日)
毎週木曜日休館 開館時間10:00 ~ 18:00
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
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