浮世絵師・初代歌川国貞(三代歌川豊国)と二代歌川広重共作の、全国に散在する百観音霊場を題材にした大判錦絵の連作「観音霊験記」に、渓斎英泉の連作「美人東海道」(復刻版)が入荷しました。
▼ 観音霊験記
日本では観音信仰が平安時代より盛んになり、修験者たちが観音霊場を巡るようになりました。江戸時代になると、巡礼という名目ならば往来の自由が許されるという理由もあり、一般庶民の間に観光旅行を兼ねた観音巡礼が流行しました。観音巡礼で代表的なものが、西国33ヶ所(京都府・滋賀県・大阪府・奈良県・兵庫県・和歌山県・岐阜県)、坂東33ヶ所(神奈川県・埼玉県・東京都・群馬県・栃木県・茨城県・千葉県)、秩父34ヶ所(埼玉県)の寺院(札所)をすべて巡る”百観音巡り”です。尚、巡礼者はすべての札所を巡拝した後、善光寺(長野県長野市)と北向観音(長野県上田市)にお礼参りをすることが習わしとされています。
「観音霊験記」はそんな百観音巡りの流行を受け、各地の寺院の由来と観音の霊験、景観とを合わせて描いた連作で、絵は初代歌川国貞(三代歌川豊国)と二代歌川広重の共作、文章は戯作者・万亭応賀が書いています。江戸時代後期の観音信仰と観光旅行を理解する資料としても価値の高いものとなっています。
— The Miracles of Kannon —
Japanese practitioners had started to make a pilgrimage to the sacred places of Kannon (Avalokitesvara) since the spread of Kannon worship in the Heian period.
People in the Edo period took advantage of this custom and visited such spots as sightseeing.
The most famous pilgrimage covers all the 100 temples consisting of 33 of Saigoku (Kyoto, Shiga, Osaka, Nara, Hyogo, Wakayama and Gifu), 33 of Bando (Kanagawa, Saitama, Tokyo, Gunma, Tochigi, Ibaraki and Chiba) and 34 of Chichibu (Saitama).
Pilgrims traditionally visit Zenko-ji and Kitamuki Kannon in Nagano after the pilgrimage.
“The Miracles of Kannon” is a series created by Utagawa Kunisada I (Utagawa Toyokuni III), Utagawa Hiroshige II and a writer Mantei Oga, which depict such religious custom and sceneries.
▼ 美人東海道【復刻版】
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