夏季休業中、鎌倉へ「野中ユリ展 美しい本とともに」を観に行って来ました。
野中ユリ展が開催されている神奈川近代美術館の鎌倉別館には初めて行ったのですが、森緑の山々に囲まれていて、すごく落ち着いた良い雰囲気でした。
夏休みの自由研究か何かなのでしょうか、館内は小中学生ぐらいの子供たちと親御さんが大勢いらっしゃいました。
真剣な表情で作品を見つめる子供たちに並んで私もじっくり鑑賞させていただきました!
展示されていた幻想的なデカルコマニーや銅版画、コラージュ、装幀本などはもちろん素敵だったのですが、早熟な文学少女であったという野中氏の言葉も興味深かったです。
例えば、青という色が生物誕生以前からのモノであり、空や海の色が透明なレイヤーの膨大な重なりから成るという素敵な表現をされているこちらの一節。
“空の青や水の青は誰もが熟知していると思っているのに、なおあこがれることしか出来ない色のようでもある。すべての生存よりも古い色だからなのだろうか。透明なものの厖大な重なりから青という色が生まれることの不思議さ。私は青い色に手を浸しながら仕事をしているのに、青い色は本質的に距離を含んでいるようで、いつも遠いのである。” (野中ユリ「水の空気」)
こちらは野中氏の、透明で繊細な作品世界の所以が分かる気がする言葉ですね。
“〈夢の地表〉というまともな読み方と、「夢の」と「地表」を切り離した読み方とができるんですね。二十代の頃にデカルコマニーなどをやり始めたのは、埃がいやで、埃一つない世界を作りたいなんていうこともかなり重要な創作動機になっていまして。 -中略- 要するにこの世では画でしか実現できない私の希求する世界ということですね。古い言葉ですけど、anywhere out of this world という感じで、自分がいたいところの地表を作るという夢の地表という意味と、夢自身の地表という意味と二つあるんです。” (野中ユリ「〈夢〉の地表を超えて・・・・・・」)
展覧会で紹介されている言葉はどれも素敵なものばかりだったので、作品と合わせて是非読んでみてください。
私も原文を是非読んでみたいと思います!
17日には早くも図録が完売してしまったそうですが、展覧会は9月1日まで開催されていますので、この機会に是非、野中ユリ作品に触れてみてください(^^)
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▼おまけ(周辺散策)
鎌倉駅
小町通りは気になるお店がいっぱいです!
野中ユリ展を鑑賞後に向かいましたが、残念ながら松田正平展が開催されている鎌倉館は既に閉館してました(T-T)
更に足をのばした建長寺も閉門・・・。
折角なので最後は鶴岡八幡宮に参拝へ。
こちらは外国の方が大勢いらっしゃいました。
御札と一緒に買った姪へのお土産のキティお守り(*^-^)
written by Teru